2022/12/21 23:28

Morris この度は浜松医科大学医学部 学士編入試験に合格おめでとうございました!まずは簡単に自己紹介をお願いします。  


achamaro ありがとうございます! achamaro(@achamaro5296)と申します。現在32歳の専業主婦です。私立大学 理工学部(生命科学系)卒業後、メーカー営業としてクライアントの商品開発やプロモーション企画等に携わっていました。受験勉強のために今年の1月に約9年間務めた会社を退職して勉強に専念していました。 プライベートでは5歳の男児&お腹にいるベビーのママです。 よろしくお願い致します!  

Morris こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。 仕事や子育てと勉強を両立してとても多忙な受験生活だったのですね! 受験勉強を始めたきっかけは何ですか?  

achamaro きっかけは長男の出産です。自分のお腹の中で人間が育ち、この世に生まれてきた経験が神秘的で感動しました。ありきたりな表現ですが、改めて命の尊さに感銘を受けました。 私はこれまで割と”自分が1番”な人生だったため、自分より大切な存在ができたことで健康のありがたさを実感することが増えました。この体験から直接人の命や健康に関わる仕事を通して社会貢献したいという想いが大きくなり、医師を目指すことを決意しました。  

Morris とても素晴らしい動機ですね!ちなみに、将来はどのような医師としての活動を希望されていますか?やはり産婦人科や小児科ですか?  

achamaro 産婦人科や小児科にも興味はありますが、現時点では総合診療医として患者とその家族の人生に伴走したいと考えています。 浜松医科大学では、総合診療医の養成プログラムの中での産婦人科研修も充実しているので、仮に産婦人科医ではなくてもお産が取れるようになることはひとつの目標です。  

Morris  今後のご活躍に期待しています。それでは、受験を始めてからの経過や受験結果を教えていただけますか?  

achamaro 医学部受験を開始したのは2018年1月です。当初は学士編入という制度を知らなかったため再受験を目指しました。しかし、12月のセンター試験直前で夫から「やっぱり受験をやめてくれ」と反対があり受験しませんでした。 その後、やはり諦めることができず夫を説得し、2019年から編入に切り替えて再度勉強を始めました。 編入試験における受験校と結果は下記の通りです。  

2020年(初受験)  浜松 1次〇 2次×  
2021年(2年目) 浜松 1次×  
2022年(3年目) 愛媛 1次〇 2次×
          浜松 1次〇 2次〇(追加合格)   

実家が静岡県であったこと、また問題の相性が良さそうだったことから浜松医科大学に絞りました。  

Morris やはりご家族との調整が一つの重要なポイントだったようですね。交渉の上で条件を詰めつつ、狙いすまして合格をもらって素晴らしいですね。 合格までに実施した勉強の内容はどのようなものでしたか?  

achamaro 私の受験戦略は、物理・有機化学で点数を稼ぐことでした。私はとにかく英語が苦手で、さらに浜松は英語の配点が低いため、理科系科目の得点を伸ばす方が有効だと考えました。生命科学に関しては、突き抜ける必要はないが大勢が取れる問題を落とさないレベルを目指しました。  各科目の勉強内容については下記の通りです。   

・物理
KALSの物理化学講座を通信で受講しました。一通り講座を見た後はひたすらワークブックを周回しました。難易度が高すぎる阪大の過去問などには手を付けませんでした。また、浜松医科大学で少なくとも5年以上出題されていない分野(波動など)にも手を付けませんでした。   

・有機化学 
KALSの物理化学講座を通信で受講しました。物理同様、講座を見た後はひたすらワークブックを周回しました。物理より理解度が低かったため、途中で【困ったときの有機化学】という参考書を追加購入しました。   

・生命科学 
KALSの基礎、完成のテキストを使用しました。途中で完成のワークブックと実践のテキストも追加購入しましたが、メインで使用したものは完成のテキストとワークブックです。 KALSの授業は取っていないため、参考書として【理系総合のための生命科学】、【チャート式 生物】を使用しました。 大学の時に使用していた【Essential細胞生物学】も手元にありましたが、あまり使用しませんでした。   

・英語
KALSの完成テキストを使用して長文読解メインで学習しました。また、【キク英文法】を使用して文法の基礎を改めて定着させました。 2~3周程度テキストとワークブックを学習しつつ、長文を読みながら分からない医療系単語をankiに入れて暗記しました。単語に関しては、ターゲット1900のアプリを利用して通勤電車の中などで学習しました。 英作文に関しては、1年目、2年目の受験時は特に対策をしていなかったのですが、3年目はMorris LABのメンバーと共に対策を行いました。具体的には、お題を決めて、各自が記述したものを共有しました。他者が書いた文章を見ることで、言い回しだけでなく、知識や自分とは違う考え方を知ることができて非常に有益でした。   

・小論文
1次試験を通過した後のタイミングで、2~3日に1題のペースで過去問などを用いて記述し、毎回添削をしてもらいました。本番2週間前くらいからは原稿用紙を購入し、実際に鉛筆で書くスタイルで演習を行いました。 また、お題の周辺知識を都度調べました。参考書としては、【吉岡のなるほど小論文講義】にざっと目を通し、【医学・医療概説】で医療周辺のテーマについてインプットしました。   

・面接
浜松の1次通過後、Morris LABのメンバーに面接官になってもらい、可能な限り毎日面接練習を行いました。また、事前に想定質問&回答集も作成しました。 とにかく毎日誰かに向かって喋り、面接に慣れ、想定外の質問が来ても慌てないための強靭なハートを鍛えることが大事だと思いました。   

Morris ご丁寧にありがとうございます! それでは、合格した浜松医科大学の試験について振り返っていただけますか?   

achamaro 1次試験の生命科学に関しては、とにかく解答欄を埋めたので空欄はほとんどなかったです。しかし、「めちゃくちゃできた!」という感触はありませんでした。ほかの受験生の感触からしても、難しい問題ばかりが出題された訳ではないようでしたので、「考え方は合っているが解が間違っている」といったミスをしないことが大切だと思いました。 苦手な英語に関しては、最後まで相変わらずでした。。。しかしこれは先に述べた戦略のうちでした。英語の配点は生命科学の半分しかないので、生命科学で点数を稼ぐことを優先していました。 

2次試験に関しては、小論、面接の対策をしっかり行ったのであまり不安になることなく挑めました。この点については本当にMorris LABの仲間のお陰としか言いようがありません。また、小論文に関しては出題のテーマが予想ドンピシャであり、さらに自分自身が経験したことのあるテーマだったため書きやすかったです。運も味方しました。  

Morris ちなみに2年目は浜松医科大の一次試験に落ちていますが、これはどのような原因を考えましたか?  

achamaro 原因は以下の3点だと考えています。   

①仕事が忙しくなってしまい、十分な勉強時間が確保できなかった 
②プライベートでこどもの転園があり、勉強時間にあまり集中できなかった 
③勉強の仕方や計画の立て方が最適ではなかった  

特に③に関して、私はMorris LABに入会するまでは1人で勉強しており、他の受験生がどう戦略を立て、どんな勉強方法をとっているかということをあまり認識していませんでした。勉強を始める前の「戦略」と「計画」は最重要です。私はMorris LABに所属する合格者や受験生から得られる受験校の情報や勉強スタイルなどを参考にすることで、勉強の質を上げることができました。 理科科目の点数を伸ばすという当初の方向性は間違っていなかったとは思いますが、やはり限られた時間の中で質の高い勉強をすることが大切です。 仕事を辞めた今年は、勉強の量と質を上げられたことが合格に繋がったと考えています。   

Morris なるほど。確かに戦略がものすごく重要な試験ですよね。一般入試のように”戦略本”が出ているわけでもなく、一般化された戦略が存在していない印象です。  編入試験において、【仕事を辞めるか否か】は一つの大きな意思決定事項だと思いますが、この点どうお考えですか?  

achamaro 仕事を辞めるか否かの選択に重要な要素は、お金と精神衛生面だと考えます。 編入試験を考えている方はよく理解されていると思いますが、受験にはとてもお金がかかります。 お金の心配をしながらの受験は精神衛生的にもよくありません。 個人的には、可能ならば仕事をしながら受験をすることがベストだと思います。 (もちろん、独身か家庭持ちかなど状況によって財源確保の方法は異なりますので一概には言えませんが。) 

また、社会人の場合、仕事を辞めて勉強に専念すると、周囲との交流が絶たれることもあり、精神的な不安や孤独が増す、といった可能性も考えられます。全てを投げうって背水の陣で勉強だけに集中できる方は良いですが、その自信がない人は、やはり社会的なつながりをどこかで保ちながらも、勉強は勉強で集中するほうが良いでしょう。 

ちなみに私の場合、どうしても医師以外の仕事に興味が持てず、仕事へのモチベーションがほぼ0になってしまったこと、また今年の受験費用は個人のヘソクリと失業保険でなんとか賄える、と考えたため退職しました。しかし、今年合格できなければ、また何かしらの形で再就職する予定でした。  

Morris  子育てをしながらの試験勉強はどのようなものでしたか?  

achamaro 仮に友人が同じ状況で編入試験の相談をしてきたら、お勧めはしません。時間の確保が難しいことはもちろんですが、何よりも私は「こどもとの時間を犠牲にしてまで、自分のわがままのために勉強することが本当に正解なのか?」という葛藤の中で勉強を続けることが苦しかったです。「じゃあ受験を辞めればいいじゃないか」と言われたらそれまでですが、医師を目指すきっかけも息子を産んだことであったので、都合の良い解釈かもしれませんが、息子のお陰でできた新たな夢だから絶対に叶えるんだ、という気持ちでなんとかモチベーション維持と勉強を継続してきました。 

勉強自体の話で言えば、こどもと一緒にいるときは遊ぶことに集中し、土日のどちらかは夫に子守りをお願いして4~6時間の勉強時間を確保できるよう協力してもらいました。また、遠出する際は単語帳やipadを常に持ち歩いていました。 仕事を辞めてからは、夕方までの預かり保育を利用して日中をまるまる勉強(+家事)の時間として確保しました。  

Morris  <お子さんとの時間>と<勉強時間>の価値を比較するのは究極の問題ですね、、、これは想定以上に深刻な問題でした  

achamaro いやもう本当に・・・ ただ、自分の年齢の問題もあり子供が大きくなるまで待つ訳にもいかないので、1年でも早く合格したかったのは事実です。。 

Morris  ちなみに受験にはどれくらいお金が必要でしたか?  

achamaro 概算ですがおおよそ下記の通りです。  

■編入試験の勉強を開始してから合格までの3年間にかかった費用 
・KALSの物理化学コース(通信):300,000円  
・テキスト・参考書・過去問:83,000円 
・受験料(浜松3回、愛媛1回):120,000円  
・移動・宿泊費:130,000円  
・志望動機の添削、面接練習:33,000円   
 合計:666,000円   

これ以外にも細かい費用があるので、ざっくり70万ほどです!自分でも初めて計算したのですが、こんなにかかっていたのかとビクリツです・・・  

Morris 計算していただきありがとうございました!とても参考になると思います。それでは、これから受験される方に向けて、achamaroさんにしかできないアドバイスはありますか?  

achamaro 私は学部卒ですし、仕事もメーカーの営業というバックグラウンドです。医学部編入試験の受験生でよく目にするアカデミック的にも社会人的にも殊勝な経歴(例:東大・京大・国立理系院卒・帰国子女・医療職者・有名外資コンサルなど)ではありません。しかし、効果的な戦略と対策によっていくらでも合格の可能性はある、ということをお伝えできれば幸いです。過去の経歴よりも自分の能力や長所を将来医師としてどう活かすかをロジカルに語れるほうが重要だと思うので、周囲に圧倒される必要はないとお伝えしたいです!   

また、特に家庭持ちの受験生は、合格後の生活を見据えた上で家族に納得してもらうことが大切です。かくいう私も粘り勝ちで夫が応援してくれましたが、両親は受験当初から大大大反対でした。両親には受験を継続していることを黙っていたため、この度の合格報告で一悶着がありました。結局進学にあたり実家のお世話になる部分が出てきたので、両親には申し訳なく思っています。進学に際してこれまでの生活スタイルや拠点が大きく変化する可能性のある方は、受験の前によく話し合うことが大切です。   

Morris 最後に受験生に向けてメッセージをお願いいたします。  

achamaro 私は編入試験の過程の中で多くの尊敬できる人に出会い、たくさんの学びを得ました。仮に合格せずに医師の道を諦めたとしても、きっとその後の人生に良い影響があったと思います。ですので、今後の受験者の方もぜひ全力で前向きに頑張ってほしいです。

編入試験の合格には運や縁の要素も大きいですが、その運やご縁を掴むためには日々の努力が必要だと思います。これから編入試験を目指す方、来年以降引き続きチャレンジされる方、みなさんの合格をひっそりと応援しております!  


(文責:森下 駿介; Morris) 



画像)achamaroさん提供。怒涛の受験生活